関節腔内注射について

関節腔内注射は、関節腔(関節の中の空間)に直接薬剤を注入する治療法です。
主に炎症を抑制したり、関節内の潤滑性を高めたりする目的で行われます。
関節痛や腫れを効果的に軽減でき、全身への薬剤の影響を最小限に抑えながら局所治療が可能です。
関節腔内注射はどのような病気に有効?
関節腔内注射は以下のような疾患や症状に効果的です
- 変形性関節症(膝、肩、股関節など)
- 関節リウマチ
- 痛風性関節炎
- 偽痛風(CPPD:ピロリン酸カルシウム結晶沈着症)
- 関節周囲炎(肩関節周囲炎など)
- スポーツ障害に伴う関節炎症
- 関節水腫(関節内に水がたまった状態)
- 滑膜炎など
関節腔内注射の効果
関節腔内注射で使用される薬剤によって、以下のような効果が期待できます
ステロイド注射
強力な抗炎症作用により、痛みや腫れを迅速に軽減します。効果は通常数日〜数週間持続します。
ヒアルロン酸注射
関節液の粘性を高め、クッション作用を向上させることで、関節の動きをスムーズにします。
効果は徐々に現れ、数週間〜数ヶ月持続することがあります。
PRP(多血小板血漿)注射(不要であれば削除致します)
自己の血液から抽出した成長因子を含む血漿を注入し、組織修復を促進します。
トリガーポイント注射
筋肉の緊張した部位(トリガーポイント)に麻酔薬などを注射し、筋緊張を緩和します。
関節腔内注射の副作用や注意点
一般的な副作用
- 注射部位の痛み
- 発赤
- 腫れ(通常は一時的)
- 関節内の一時的な圧迫感や違和感感染症のリスク(非常にまれ)
- ステロイド使用時の一時的な血糖値上昇(糖尿病患者の場合)
注意点

- 頻回の注射(特にステロイド)は関節軟骨の劣化を促進する可能性があります
- 感染症がある場合や注射部位に皮膚疾患がある場合は避けるべきです
- 血液凝固異常や抗凝固薬服用中の方は出血リスクについて医師に相談が必要です
- 効果には個人差があり、持続期間にも差があります
- 根本的な治療ではなく、症状の緩和が主な目的です
関節腔内注射はあくまで治療オプションの一つであり、
リハビリテーション、適切な運動療法、体重管理などの総合的な治療アプローチの一環として考えることが重要です。